監修
内窓(二重窓)は断熱・防音に効果的な一方、開閉の手間が増える・窓枠の奥行きが足りないと設置できない・空気層に結露が発生するなど、知っておくべきデメリットがあります。費用は1箇所あたり3万〜15万円程度かかることが多く(内窓の費用相場)、メリット面は内窓の断熱・防音効果を確認すると整理しやすいです。国土交通省の先進的窓リノベ事業を活用すると補助金が受けられます。
この記事では内窓の7つのデメリットを正直に解説し、それぞれの対策と失敗しない選び方をまとめています。設置を迷っている方が納得して判断できるよう、向いている人・向いていない人の整理まで網羅しました。
内窓(二重窓)とは?仕組みと基本メリットのおさらい
内窓とは、既存の窓(外窓)の内側に追加で取り付ける窓のことです。外窓との間に空気層(一般的に60〜100mm程度)が生まれ、この層が断熱・防音・気密性向上の役割を果たします。工事は既存の窓枠に取り付けるだけなので、1箇所あたり約1〜2時間で完了することが多いです。
内窓の主なメリット(おさらい)
- 冬の熱損失を削減する断熱効果が期待できます
- 外窓との空気層が騒音を吸収する防音効果
- 外窓の結露発生を抑制(ただし空気層内に別の結露が発生する場合あり)
- 既存窓をそのままに後付けできるため、工事が短時間・低コスト
環境省「窓の断熱改修について」によると、住宅の熱損失が窓から多く発生しており、内窓設置による断熱改修は省エネ対策として効果的とされています。ただし、こうしたメリットの裏にはいくつかのデメリットも存在します。次のセクションで詳しく確認しましょう。
内窓の主なデメリット7選
内窓の設置を後悔しないためには、事前にデメリットを把握しておくことが欠かせません。以下の7点が代表的な注意点です。各デメリットには対策もセットで紹介しています。
デメリット①:窓の開閉に手間が増える
内窓を設置すると、換気や採光のたびに外窓・内窓の2枚を操作する必要があります。頻繁に開閉するキッチンや、子どもが日常的に出入りするリビングの掃き出し窓では不便に感じやすい傾向があります。
引き違い窓タイプの内窓であれば操作性は比較的スムーズですが、それでも1回の換気に2アクション必要になる点は変わりません。「換気が面倒で内窓を閉めっぱなしにしてしまう」という声も現場では聞かれることがあります。
対策
開閉頻度が高い窓(玄関・リビング掃き出し窓など)への設置は慎重に検討する。換気は専用の換気口や通風型の窓で確保し、断熱・防音目的に特化した窓(寝室・書斎・北側の窓など)に内窓を優先する方法が現実的です。
デメリット②:掃除・メンテナンスの手間が増える
内窓を設置すると、ガラス面が単純に2倍になります。外窓の室内側ガラス・内窓のガラスを別々に拭く必要があり、掃除の時間が増えます。また、2枚のレールや框(かまち)にも汚れ・ホコリが溜まりやすくなります。
特に外窓と内窓の間の空間は手が届きにくい構造になっているため、「汚れているのに拭けない」状態になりがちです。
対策
内窓は取り外して掃除できる製品がほとんどです。半年〜1年に1回程度、外窓との間のガラスをまとめて清掃するスケジュールを決めておくと管理しやすくなります。レール部分はマスキングテープで汚れを防止する方法も有効です。
デメリット③:窓枠の奥行きが必要で設置できない場合がある
内窓の取り付けには、既存の窓枠(額縁)に一定の奥行きが必要です。主要メーカーの製品では、最低でも70mm前後の奥行きが必要とされることが多いです。マンションや築年数の古い戸建てでは窓枠の奥行きが50mm程度しかない場合もあり、そのままでは設置できないことがあります。
対策
奥行きが不足している場合でも、アタッチメント(補助部材)を窓枠に追加する方法で対応できるケースがあります。ただしアタッチメントの取り付けにより見た目が変わる・追加費用が発生するため、事前に施工業者に現地確認を依頼することをおすすめします。
デメリット④:室内側のスペースが狭くなる
内窓を設置すると、窓枠・框の分だけ窓まわりが室内側に出っ張ります。窓台(窓の下の棚板部分)が狭くなったり、ブラインドやカーテンレールの位置を変更しなければならないケースもあります。出窓のように元々スペースが限られている窓では、物を置くスペースが失われることもあります。
対策
事前にカーテンレールや窓台の干渉を確認し、必要に応じてカーテンレールの移設を内窓設置と同時に施工業者へ依頼します。移設費用は1箇所あたり5,000〜15,000円程度が目安です。
デメリット⑤:結露が内窓と外窓の間に発生することがある
内窓を設置すると外窓への結露は減少しますが、代わりに外窓と内窓の間の空気層に結露が発生するケースがあります。これは内窓の気密性が高いために室内の暖かく湿った空気が空気層に入り込みにくい反面、一度入り込んだ空気が外窓(冷たい面)で冷やされて結露するメカニズムです。
特に内窓の気密性が低い(施工精度が不十分・製品品質が低い)場合や、外窓の断熱性が極端に低い古い窓に組み合わせた場合に起こりやすいとされています。
「内窓特有の空気層結露」のメカニズム
室内(暖・湿)→内窓(高気密)→空気層→外窓(低温)という構造において、わずかに空気層へ侵入した室内空気が外窓面で冷やされると、空気層内で結露が発生します。空気層が密閉されていれば結露量は最小限に抑えられますが、気密性の低い内窓では継続的な水分流入が起こります。
対策
気密性の高い製品を選ぶことが根本的な解決策です。また、施工業者による適切な取り付け(框とレールの隙間をなくす施工)も欠かせません。外窓の気密性が著しく低下している場合は、外窓のシーリング補修と組み合わせることで結露リスクを下げられます。
参考:国土技術政策総合研究所(国総研)では住宅の断熱・結露に関する技術情報を公開しており、二重窓における空気層の温熱環境についての知見が参照できます。
デメリット⑥:費用・工事コストがかかる
内窓の設置費用は、窓のサイズや製品グレードによって異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
| 窓のサイズ | 製品代+工事費(目安) |
|---|---|
| 小窓(トイレ・浴室など) | 3万〜6万円程度 |
| 腰高窓(寝室・子ども部屋など) | 5万〜10万円程度 |
| 掃き出し窓(リビングなど) | 10万〜15万円程度 |
一般的な住宅で全窓に施工すると50万〜100万円以上になることもあり、費用面が最大のハードルになる方も少なくありません。
対策
国の補助金制度(先進的窓リノベ事業)を活用することで、実質負担を大幅に下げることができます。詳細は後述の「補助金を活用してコストデメリットを抑える方法」で解説します。
デメリット⑦:防火地域・建物構造によっては設置制限がある
防火地域・準防火地域に指定されているエリアでは、窓に防火性能が求められます。内窓自体は室内側の取り付けになるため防火設備の対象外となるケースがほとんどですが、既存の外窓が網入りガラスの場合、内窓設置によって採光・換気の関係が変わる可能性があります。
また、マンションでは管理規約によって内窓設置が制限されている場合や、原状回復義務が課される場合があります。特に外窓まわりの工事は「専有部分か共用部分か」の解釈が物件によって異なるため、事前に管理組合への確認が必要です。
対策
マンション居住者は管理規約と管理組合の承認状況を必ず事前確認します。防火地域については、施工業者に建物の用途地域と規制の確認を依頼することで、設置可否の判断ができます。
デメリットを解消するための対策と選び方のポイント
内窓のデメリットの多くは、製品選びと施工業者選びで回避できます。以下のポイントを押さえると、失敗リスクを大きく下げられます。内窓が向かない窓ではサッシごと交換するという選択肢も併せて検討してください。
- 現地調査を依頼する窓枠の奥行き・カーテンレールの位置・マンション規約の制限は、実際に測ってみないと判断できません。複数の業者に現地調査を依頼し、設置可否と費用を確認しましょう。
- 気密性の高い製品グレードを選ぶ空気層の結露防止には気密性が鍵です。主要メーカーの標準グレード以上の製品であれば、施工精度と相まって断熱・防音の効果を発揮しやすくなります。性能値(U値)や施工実績を比較してください。
- 外窓の補修やサッシ交換との組み合わせを検討する外窓の劣化が激しい場合は、内窓だけでは限界があります。気密シーリングの補修や、条件が合えばサッシ交換と組み合わせると総合的に改善しやすくなります。
- 補助金の要件を工事前に確認する登録施工業者・対象製品の条件を満たすと自己負担を抑えられます。制度の全体像は補助金解説の記事も参照してください。
補助金を活用してコストデメリットを抑える方法
先進的窓リノベ事業などを利用すると、費用面のデメリットを和らげやすくなります。申請の流れや注意点は補助金制度の詳しい解説をあわせてご確認ください。
最適な工法は窓ごとに異なります。プロに相談して最適な設置方法を選ぶ場合は、大田区の内窓・窓リフォームはオタ窓までお問い合わせください(無料お見積もり・ご相談)。